日本におけるSETIの意義



先に述べたように周波数をHに固定することが出来ないのであれば、SETIが成功するのに要する時間は多大なものになる。

このような事情から、アメリカだけではなく旧ソ連・フランス・オーストラリア・カナダ・アルゼンチンなど電波望遠鏡を持つ技術のある多くの国が協力をして行っている。さらにSETIは一カ国が行うべきものではなく、人類全体のプロジェクトとして行うべきである。

では、日本が協力できることはないのであろうか?

ひとつの貢献の仕方として、SETI@Homeというものがある。これは、観測された(アレシボ電波望遠鏡)データの解析を、パソコンのスクリーンセイバー上で解析し、データ―を送り返すというものである。現在、のべ5万人の日本人が協力しているという。詳しく知りたい方は、リンクからSETI@homeに関係するページを見ていただきたい。

しかし我々はそれだけでは不十分であると考えている。日本は、電波天文学の分野において高い技術を持っている(例えば国立天文台野辺山観測所の45m鏡など)。それにもかかわらず、日本でSETIの観測がなされたことは一度もない。

我々は、以下に述べる方法によって日本でもSETIの観測を行うことを提案する。

 

野辺山45M電波望遠鏡

日本におけるSETI計画



以下の文章は、我々が野辺山45m電波望遠鏡の共同利用に提出したプロポーザルの要約である。

 

探査周波数 = 水(22.3GHz)とGlycine<アミノ酸>(22.7GHz)

  <理由>

以上のような理由で、ETIがこの周波数帯で発信している可能性は大いにあると考えられる。また、この周波数帯でも観測は1970年代に2例あるだけほとんどなされていない(対象が球状星団)。またさらに

 

対象天体 = 惑星系がすでに発見されている恒星

  <理由>

よってやみくもにいろいろな恒星を探索するより、すでに惑星系が発見された恒星を探索する方が20倍確率が高いのである。

 

まとめると、

我々は、すでに惑星系が発見されている21個の恒星を対象に、水(22.2GHz)とアミノ酸(22.7GHz)のライン周波数付近で、地球外知的生命体の探査(SETI)を行うことを提案する。


我々は2度にわたって以上の計画を野辺山電波観測所の45m電波望遠鏡の観測公募に応募した。
しかし、残念ながらこのプロポーザルが野辺山電波観測所に採用されることはなかった



日本におけるSETI計画2

 我々は日本におけるSETI計画と同様の内容を改良し、日本の電波望遠鏡だけではなく、海外の電波望遠鏡をも視野に入れて応募していくことにした。まず、手始めとしてアメリカ国立電波天文台の所有するVeryLargeArray(日本語訳は・・・。超基線電波望遠鏡群かな・・・。以下VLA)に応募した。VLAは単一望遠鏡ではなく、25mの望遠鏡が27基アレイとなっていることなどの特徴から、天文学や宇宙物理学の分野で非常に多くの成果を上げている。我々もアレー望遠鏡がRFI(電波干渉)の分離に有利である点、及び25m、27基のアレー望遠鏡は単一望遠鏡としては100m以上の望遠鏡に相当する感度を有する点に注目をして応募した。その結果、2001年の6月に観測時間をもらうことが出来た。

 以下の文章は我々がその観測結果をBioastoronomy2002(2002年7月、IAU [国際天文学連合」 Symposium 213)に申し込んだ概要とその日本語訳である。詳細については学会後に改めて報告したいと思っている。

Title:
Search for Extraterrestrial Intelligence at Water Maser Frequency with Very Large Array

Authors:
Toshimichi Shirai#: Tokyo Univ
Tomoaki Oyama: Tokyo Univ
Hiroshi Imai: National Astronomical Observatory, Japan

Abstract:
A direct Search for Extraterrestrial Intelligence (SETI) at Water Maser frequency, 22.235GHz, has been carried out by using the Very Large Array (VLA) June 2001. The target stars are 14 solar-type stars, which are known as exoplanetary systems. The rest frame of barycenter and cosmic microwave background were chosen as the velocity frame. And the spectral resolution used was 6 kHz. The RMS limits of the flux density of these observations, 50 mJy (5 sigma), was sufficient to roll out any omnidirectional transmitters stronger than 5*10**(12) W (the power of strong terrestrial radars)at most targets (within 25pc). The relevance of this non-detection will be discussed.

#Current Address is Goldman Sachs (Japan) Ltd.


日本語訳

タイトル:水メーザー周波数帯でのVery Large ArrayにおけるSETI観測について

著者
白井俊道:東京大学*
小山友明:東京大学
今井裕:国立天文台
阿部新助:宇宙科学研究所

要約

2001年6月、水メーザー周波数帯(22.235GHz)でのターゲットSETI観測をアメリカ国立電波天文台のVery Large Arrayを使用し行なった。ターゲットとしては、すでに惑星系の発見されている太陽型の14個の恒星を選んだ。また、観測座標系としてはCMB(宇宙背景輻射に基づいた系)及び太陽中心系の二つを基準系として選んだ。観測周波数分解能としては6KHzを選んだ。観測の感度(50mjy)を考慮すると、観測したほとんどの恒星で地球程度の文明でも発見可能であるはずである。残念ながら、地球外からの信号と思われる電波は発見することが出来なかった。発表では、その詳細と発見できなかったことからわかることを議論していく。

#現在:ゴールドマンサックス証券東京支社


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