
現在のSETI計画
ここでは現在世界で進行中の主なSETI計画について簡単に紹介しようと思う。計画の多くは、やはりアメリカを中心に行われている。なんと言っても、アメリカ人は宇宙人が大好きだから。。。
1. フェニックス計画(Project Pheonix)
この計画が現在進行中のSETI計画の中で最も大きいものである。この計画は、1993年に予算の関係から打ち切られてしまったNASAのSETI計画の後を引き継ぐ形で始まった。この計画は、SETI研究所が支援団体となり、いくつかの電波望遠鏡が協力して行なわれてきた。特徴としては、宇宙人の信号を識別するために複数の望遠鏡を同時に使っていることと全天サーベーではなくある恒星を観測するターゲット観測であることである。
南半球におけるフェニックス計画
開始年:1995年2月
観測地:ニューサウスウェールズ(オーストラリア)
使用望遠鏡:64mパークス(Parkes)電波望遠鏡と22mモプラ(Mopra)電波望遠鏡
観測周波数:1〜3GHz
周波数分解能:1Hz
観測形式:ターゲット観測
ターゲット天体:209個の太陽型の恒星
註:パークスは南半球で最も大きい電波望遠鏡である。
語句の意味についてはちょっと難しいSETIの基礎知識 in 「SETIとは?」参照してください。

北半球におけるフェニックス計画
PartT
開始年:1996年9月〜1998年4月
観測地:グリーンバンク(アメリカ)
使用望遠鏡:43mグリーンバンク電波望遠鏡
観測周波数:1〜3GHz
周波数分解能:1Hz
観測形式:ターゲット観測
註:グリーンバンク国立電波天文台(NRAO)はドレイク博士がオズマ計画を実行したところである。
PartU
開始年:1996年9月〜1998年4月
観測地:アレシボ(プエルトリコ)
使用望遠鏡:305mアレシボ電波望遠鏡とイギリスのジョデルバンクの76m電波望遠鏡
観測周波数:1〜3GHz
周波数分解能:1Hz
観測形式:ターゲット観測
ターゲット天体:150光年以内にある1000個の太陽型恒星
註:毎年2-3週間の時間を使ってSETIが行われている。
アレシボ電波望遠鏡
2. セレンディップ計画(Serendip Project)
概要
開始年:1979年
観測地:カリフォルニア大学バークレー校
使用望遠鏡:305mアレシボ電波望遠鏡
観測周波数:1.4GHz
周波数分解能:最高0.6Hz
観測形式:全天観測(赤緯+20〜+60が中心)
この計画は、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校が中心になって行っている計画である。Search for Extraterrestrial Radio Emission from Nearby Developed Intelligent Populationsの頭文字をとっている。”serendipty”という英語の単語があり、"思いがけない”という意味を持っている。この略語は、強引過ぎるきもするけど、この計画のエッセンスをうまく表現している。セレンディップ計画とは、簡単にいえば他の天文学の観測をしている間に、その観測を邪魔することなくSETIの観測もしようという計画である。SETIにおいては、常に観測時間の確保が非常に困難であり、重要である。例えば、フェニックス計画ですら観測時間は1年で2週間前後である。それに対して、SETIで観測すべき領域や周波数はあまりにも多い。そこで、セレンディップ計画が誕生した。
この計画の第一世代が完成したのは、1979年のことです。1980年にカリフォルニア大学のHat
Greek電波天文台に、1981-1982にはGoldstoneのDeep
Space Networkに装備された。もう少し具体的にいうと、周波数分解能1KHzでチャンネル数は100チャンネルの分光器を設置した。つまり、バンド幅は1×100で100KHzのバンド幅となる。
この計画の第二世代が完成したのは、1986年のことです。第一世代と第二世代の大きな違いは、解析を既存の分光器ではなく高速フーリエ変換(以下FFT)を利用したものを採用したことであろう。このことによって、急激にチャンネル数を増やすことができ、急激に周波数分解能を上げることが可能になった(*なぜチャンネル数を増やすのか?「SETIとは」参照)。具体的には、チャンネル数は65356チャンネル、周波数分解能は2Hzなった。設置したのはアメリカ電波天文台のグリーンバンクの90m電波望遠鏡。1986年-1990年まで。
この計画は現在第四世代まで進んでいる。基本的にその装置は第二世代のそれと変わりがない。先に述べたように出来るだけチャンネル数を増やすための改良を施している。第三世代では約4百万チャンネル、そして現在進行中の第四世代では1億6千万チャンネルとなっている。すごい進歩ですね。設置望遠鏡としては、プエルトリコにある300mアレシボ電波望遠鏡である。周波数としては水素の吸収線である1.4GHzを採用している。
現在これらの装置は、オーストラリア及びイタリアにも輸出?(提供)されている。個人のパソコンのスクリーンセイバーで分散解析するSETI@homeも同じグループが主催している。他の天文観測の間にSETI観測をするという意味では、基本的にはセレンディップと同じである。ただ、こちらはテープにデータを保存して、オフライン(つまり観測後)で解析するため、一つの周波数分解能ではなく幾つかの周波数分解能で解析するなどさらに詳しく解析がされている。詳しくは、http://www.vacia.is.tohoku.ac.jp/~s-yamane/articles/setiathome/home_japanese.html
セレンディップ計画方式のSETI観測は、日本で継続的にSETI観測をするためには必要不可欠だと僕は考えています。なぜなら、日本では観測時間は現在のところゼロ、SETI専用望遠鏡は実現は非常に困難(少なくともいまのところは)である。我々もバークレーのグループと共同研究の形で実現を目指したいと考えています。まだ具体的には何も決まっていませんが。資金源もいまのところありませんし。でも、いつかSETI@homeに変わって、SETI@imodeっていうのもいいかもしれません。どうですか?NTTdocomoさん。
3.イタリア・セレンディップ計画(SETITALIA)
とりあえず、そろそろアメリカ以外のSETI計画を紹介したいと思います。ただ、この計画はその装置をSERENDIPWと同じ装置を使っており、完全に独自の計画とは呼べないかもしれません。当然のことながら、概要は上のSERENDIP計画とほとんど同じです。
この計画は、1998年4月にイタリア・ボローニャのメディナ天文台の32m電波望遠鏡にSERENDIPWの装置を設置することによってスタートした。周波数分解能1.2Hz、チャンネル数は4百万チャンネルで、よってバンド幅としては2.5MHzである。アレシボ望遠鏡が固定式の望遠鏡であるのに対して、この望遠鏡は固定式でないのでSERENDIPW計画(赤緯+8〜+28)より広い領域(赤緯-30〜+90)をカバーすることが出来る。また、観測周波数に関しても1.4GHzだけでなく、0.4GHzと1.6GHz(水酸基OHの周波数)も観測している。現在では、SETI研究所の援助などにより、チャンネル数は3200万チャンネルにヴァージョンアップし、バンド幅を15MHzにまで広げている。

SERENDIP装置 メディナ天文台32m電波望遠鏡
4.META計画
概要
開始年:1983年
観測地:ハーバード大学
使用望遠鏡:26mオークリッジ電波望遠鏡
観測周波数:1.4〜1.7GHz及び2.8GHz
周波数分解能:最高0.05Hz
観測形式:全天観測(赤緯-30〜+60が中心)
またまたアメリカの計画です。この計画は、あの由緒正しきハーバード大学の研究チームによって実行されています。アメリカ惑星協会の援助によって実現され、その資金源としてETなどで有名なスピルバーグ監督の援助が大きかったそうである。METAはMegachannel ExtraTerrestrial Assayの頭文字を取っています。約800万チャンネルの解析を行うことのできる装置を使用した計画という意味です。SERENDIP計画と同じくFFTを使用してます。この計画の大きな特徴としては、専用望遠鏡を所有していることが挙げられる。非常に古い望遠鏡であるが、観測時間が1年中観測できるというメリットを活かして全天観測を行っている。1993年に掲載された論文によると、5年間の観測で怪しい信号を37個捕らえたそうです。残念ながら、再観測で確認されたものはありませんでした。

オークリッジ電波望遠鏡